13日夜国府市内でザクロ果実栽培・利用研究会の発足式が開催された。昨年から森下仁丹㈱のプロジェクトを共同研究者として進めてきたが、国内での初めての集積栽培地を推進する研究会が発足できたのは、新たな山梨の特産果実を目指す機運の芽が顔を出したことになる。20名強の研究会であるがよく集まったものだと思う。これまで食用としての価値があまり認められていないどころか、観賞用としての評価しかないではないか、種が沢山あって食べにくい。そんな果実に消費者は目をくれないのではないか等等、現時点においては明るい話題がない。一方でスーパーや百貨店の食品売り場では海外からのザクロ果実が300円~800円で売られている。一体購入者はどんな価値を認めて購入して行くのかは不明である。調査したこともないのでる。人の嗜好は時代とともに移り変わるものである。これまでこうだからダメだというのは過去に囚われ過ぎている。江戸時代に4巻の言志録を出版した佐藤一斎の言葉がある。「心は現在なるを要す」である。過去も未来も現在迎えることはできない。過去の失敗や未来への不安により現在の行動に躊躇を余儀なくされるということは、現在の心を失っているというのである。人は今思い、行動しようと思ったら現在に集中することである。それが未来を切り開くということになる。甲斐八珍果としての歴史的ストーリーを築き上げることのできるザクロ果実、お前もガンバレと言いたい。
会則や当面の事業計画に賛同を得たのち、私がこれまでの経緯から当面会長に就任することになった。記念講演は9月に参加した私の中国でのザクロ国際会議報告、一緒に参加した山梨大学の村松昇先生には栽培の視点からの講演をいただいた。講演後には加工品11点やザクロ果実の評価を行い、設立会としては盛りだくさんの内容であった。この会の設立は地元紙にも取り上げられ、紙面掲載の翌日には全く知らない会社の社長から電話があり、ザクロの盆栽の提供の申し出があった。新聞を見て感動したとのことであり、私の事務所に持参された。親の代からザクロの盆栽作りをやっているとのこと。ありがたい話である。そのほか1,2電話があり、いずれも激励の電話であった。(山梨県中央市の仲澤明氏より寄贈されたザクロ盆栽)
新しいことをスタートする以上にこれを実現することの方がもっと困難を極める。多くの方の期待と不安の中にスタートした研究会ではあるが、何とか小さくても集積栽培地を実現し、山梨産のザクロとして店頭に並ぶことができるよう着実な歩みを続けていきたいと思う。